『…希咲ちゃん。ぼくが大きくなったら、、けっこんしてくれる?」





『もちろん。そしたらずーっと、一緒にいられるね』





『うん。ずっと、一緒にいよ』















パチッと目を開けると、見慣れた天井が飛び込んできた。





…夢か…。





ノロノロと、ベッドの上にからだを起こす。






…あれはまだ一誠が可愛くて素直な男の子だった…5才の頃。





…あたしと一誠、そういえばこんなこと、言い合ってたな。




それから一誠は成長を遂げるごとに段々クソ生意気な男子に変貌していって、あたしとはケンカばっかりで、そんなこともすっかり忘れてたけど。





あの時は子供ながらに、“ケッコン”がどういうことかも分からずに…ただずっと一緒にいたいな、って思ってた。







…いつか一誠が言ってた。





“だから、お前は俺のモンなの。5才の時から”






もしかして一誠は、この約束を覚えてた?




あれからずっと、…想ってくれてた?










―――何で今さら、こんなこと思い出したんだろう。





もう遅いのに。






でも…。







あれから11年。16才になった、今日。








――今日で全部終わる。