「おー、矢野…」



「ど、どうしたの湊くん?なんか顔色悪いよ?」




乙女な自分とのまさかの遭遇に動揺が隠せない俺を心配してくれる矢野。





「放っておいてやれ、矢野。
恋する男は情緒不安て…痛っ」





余計なことを言おうとした柏木の頭を教科書でぶん殴り、とりあえず黙らせる。





「で?何か用?」




「あ、あぁうん。実は小木先生に資料室の荷物運ぶように頼まれちゃって…湊くん、手伝ってくれない?」





しっかり者の矢野は、よくこうして先生から用事を頼まれている。



そんな矢野に手伝って欲しい、と言われることが多い俺。





まぁバイトも一緒だし、何かと頼りやすいのかもな。






「おーいいけど…柏木も来いよ。お前どうせ暇だろ?」




「えっ!?」





暇そうにスマホを弄っている柏木にそう言うと、なぜか矢野が素っ頓狂な声を出した。





「…何?」



「えっいや…み、湊くんだけでいいよ!そんなに荷物ないと思うし…!!」




「…そ?」





何でもいいけど、何でこんなに焦ってんだろ。