「…黙れ。もう俺の前でアイツの話をするな!」




目を逸らした俺に、ヤレヤレ、と大袈裟な動作で肩をすくめてみせる柏木。なんかムカつく。ぶっ飛ばすぞ。





「そんなこと言って、本当はもう分かってんだろ?
諦めらんねーってさ」




「…バカ言うな」






…そんな恐ろしいこと言うなよ。





じゃぁ俺は、このままずーっと、アイツのことを好きでいなきゃいけないわけ?



いつまで?
永遠に?





…あぁ、この目の前のおにぎりと同じように、恋にも賞味期限があればいいのにな…





そうすればいつかはアイツのこと、忘れられるのに…







って。







俺は誰だ!?希咲が読んでそうな少女漫画の主人公かよ!?





思いがけない自分の乙女な思考にドン引いていると






「湊くん!」





いつものような明るい声で、矢野がやって来た。