「おまえ…ってか別にイチャついてんじゃねーよっ!」
「じゃー手に持ってるソレはなんだぁ?
お前あの幼なじみちゃんが好きなんじゃなかったのか~?ん?」
俺の肩に腕をまわし絡んでくる柏木…ウザい。
「何でタオル受け取ったらイチャついてることになんだよ?
ってか、……あいつのことはもう、やめたから」
そう。
俺はもう、決めたんだ。
あいつのことは…希咲のことはもう、すっぱり諦めるって。
「俺、ちょっと水飲んでくるから…」
柏木の腕を振り払って歩き出そうとした、瞬間。
偶然にも飛び込んできたのは、二階の美術室…窓際で絵を描いてる
…希咲の姿。
知らなかった。
ここから美術室って、こんなによく見えるんだ。
今、A組は美術なんだな…
そーいや、希咲って昔っから美術得意だったっけ。
小学生の頃とか、よく絵画コンクールで入賞してたよな。
…今は、何描いてんだろ…
「…やめるなんて出来ないクセに」
いつの間にか隣に並んでいた柏木が、呆れた声で言う。
「…人の視線追ってんじゃねーよ」
俺は希咲から視線を逸らして、今度こそ歩き出した。