「…はぁ……」 「ってちょっと!水溢れてる!!」 「え!?」 慌てて手元を見ると、絵の具の水入れがいつの間にか溢れかえっていた。 「ぎゃー!!!」 「…ほんっとボーッとしてるよね、最近」 隣でパレットを洗っていたのんちゃんが、深いため息をつく。 「…そ、そう?」 「そうだよ!」 吠えるのんちゃん。 …どうやら最近あたしはボーッとしている、らしい。 それは紛れもないあの日… 一誠に「諦める」宣言をされた日から。