お母さんに命じられカウンターキッチンで洗い物をしていると





「じゃ、俺行くわ」





ソファに座っていた一誠が、おもむろに立ち上がる。






「え?どこに?」


「友達の家。泊めてもらえることになってるから」


「え〜、このままウチに泊まっていけばいいじゃない」




残念そうに言うお母さん。





「いえ…もうお願いしてしまったので」





…そうだよね。


一誠も、こんな所いたくないよね…





でも一誠大好きなお母さんは引き下がらない。





「そんなぁ。一誠くんいないとつまらないよ〜、ねぇ希咲?」



「え?」





突然話をふられて、お皿を落としそうになった。





「一誠くんに泊まっていって欲しいでしょ?」



「…いや…あたしは…」



「泊まっていって欲しいよね!?」





…お、お母さんの目力が半端ない。






「…………うん」






あたしは母の眼力に屈した。






「よしっ、じゃぁ決まりネ♪
もう一誠くんの布団も敷いちゃってあるから!希咲の部屋に♪」




………はい!?