「は?何突然。
まぁ普通にいい奴だけど」



「うん…」





あたしは蘭子ちゃんから貰ったメモ用紙を、ポケットにしまう。





「つーかさ、せっかくだしどっか寄ってかね?

久しぶりにドーナツ食い行く?」





久しぶりの、一誠からの誘い。


前は結構頻繁に2人でどこかに出かけたりしてたけど、一誠がバイトを始めてからはすっかりご無沙汰だ。





「あー…うーん…」




あたしが曖昧な返事をしていると、一誠の顔が不機嫌そうに歪んだ。






「なに?俺と行くの嫌なわけ?」



「そういうわけじゃないけど。

…今日は、やめとく。

あたし早く帰って再放送のドラマ見なくちゃいけないし!」



「はぁ?そんなの録画しとけよ」




「リアルタイムで見たいの!」





「リアルタイムってどっちみち再放送だろーが」





「いいの、それはっ!」







そういう問題じゃない。




だって、…おかしいもん。



蘭子ちゃんに一誠とのこと応援するって言ったのに、そんなあたしが一誠と2人で出かけるのは…絶対まずい。






「一誠も早く帰って勉強でもすれば?たまには」



「テスト前でもねーのにぃ?」




「あのね、言っとくけど、テスト前以外でも勉強するもんなの!普通は!!」