「で、楽しかったわけ?親睦会とやらは」



夢中になってドーナツを食べていると、隣からそんな一誠の声。



「うん、楽しかったよ~!カラオケ行ったんだけどね、いっぱい歌えたし、友達増えたし!」




それに…


脳裏に思い浮かぶのは、神谷くんの爽やかな笑顔。




「痛っ」




すると突然、一誠にグニッとホッペをつままれた。





「い、いひゃいんですけど?」



「ヘラヘラしてんじゃねーよ。ムカつく」



「ひゃい!?」




何それ、なんか超理不尽!




「…ま、いーや。俺バイトすっから」




あたしの顔から手を離した一誠は突然そんなことを言った。




「え、バイト?なんで?」



「…別に、金欲しいし」



「ふーん、どこでするの?」



「駅前のカフェ…って、おまえ絶対来んなよ!?」




一誠が、眉をひそめてあたしを見る。




「分かってる分かってる、行きませんよ~♪」




ふふん、絶対行ってやろ。





「…言っとくけど、来たらぶっ飛ばすからな!」




そして袋の中からポン・デ・リングを取ると、「じゃーな」とあたしの部屋を出て行った。




って




「あたしのポン・デ・リングー!!」




一番好きなヤツなのに!


あとで食べようと思ってとっといたのに!!






まーいいや。


近々、どうにかして一誠のシフトを聞き出して


絶対冷やかしに行ってやろーっと。





残りのドーナツを頬張りながら、あたしは心の中でそんな計画を立てた。