パシッ…





「ちょっと」






不意に、あたしの腕をつかむ一誠の手を、神谷くんが止めた。





「乱暴すぎ。
女の子そういう風にしちゃダメでしょ」




「…あ?」





振り向いた一誠が、ピクリと眉を動かす。






「…おまえさ」






そして一誠はあたしの腕をはなすと、神谷くんを見据えたまま続けた。






「言っとくけど。

こいつは渡さねーから、絶対」






…え……







一誠の言葉にボッと顔が熱を持つ。




と、突然反則だ、こんなの。



し、しかも!



「な、何言ってんの!?
別に神谷くんは、そんなんじゃ」







こんなの神谷くんに失礼すぎる!






しかし一誠はそんなあたしに






「…はぁぁぁぁぁぁぁ」







と、あたし以上に長いため息を吐き出した。







「…おまえほんとやだ。
この鈍感バカ」







鈍感バカ!?