一誠の真剣な瞳があたしを射抜く。




一誠の想いが伝わってきて…


あたしは、動けない。





「…ま、いいや。今日のところはこれで勘弁してやるよ…おまえ熱あるし。顔まっか」




スッと鼻を摘まんでいた手があたしの頬に微かに触れて




一誠は気を取り直すように笑った。






「じゃーな。
早く家入れよ、病人」






パタン…と、すぐ向かいにある一誠の家のドアが閉まる。






…一誠の手、冷たかったな…





あたしはボンヤリとそこに立ち尽くしたまま、そんなことを思う。






…ずっと変わらなかった幼なじみという距離。一誠との距離。



それがどんどん、変わってく。




一誠もあたしも…いつまでも昔のままじゃ、いられないのかな。