「…じゃぁね、湊くん」
わざとらしく名字呼びしてみる。
うわー、なんか気持ち悪い、口が。
そのまま固まる一誠の横を通り過ぎようとした時
「…待てよ」
グイッと一誠に腕をつかまれた。
そのせいで、持っていたノートの山がバサッと床に落ちる。
「ちょっ、何す」
「いいから来いっ!」
乱暴に腕をひかれて、遠ざかっていく散らばったままのノートと、驚いたようにあたし達を見ている神谷くんに、矢野さん。
「いっ、一誠…!?
あたしノートを…!」
「んなのどーだっていい」
ガラッとドアが開き、押し込まれた空き教室。
「…あ、あの…!?」
後ろ手にドアを閉め、なぜか施錠までした一誠。
射るような目であたしを睨むと、そのまま壁際に追い詰められた。



