ギュッと目を瞑った瞬間、力強く後ろに引かれた右腕。




「え…?」




階段に座り込んだまま、そっと後ろを見上げると




「…か、神谷くん…!?」



「よかった、超ギリギリセーフ」




つかんでいた右腕を引っ張って立たせてくれた神谷くんが、ニッと笑った。




「か、神谷くん。ありがとう助けてくれて…!助かった~!死ぬかと思ったよ!」




神谷くんが助けてくれなかったら、きっと今ごろあたしは、地面に顔面ぶつけて鼻なんかペシャンコだったよ…!!




思わず鼻をおさえて涙目になるあたしに、神谷くんがハハッと笑う。




「でもマジで危なかったな。俺も焦ったよ。目の前に高倉さんいて、声かけようと思った瞬間足滑らすんだもん」




神谷くんは、同じクラスの男子。



席も遠いし、今まで喋ったこともなかったけど、生徒会で、クラスの人気者の神谷くんは、クラスの中でもとっても目立つ。



サラサラの黒髪が柔らかそうに風になびいて、ちょっと子犬っぽい笑みを浮かべる神谷くん。





…なんていうか




か…


かっこいい…!!!