玄関の隅には女性モノの鞄が置いてあり、女の子っぽいマジック式の運動靴と、履き古したスニーカーがあった。

学習机しか無い子供部屋を抜け、玄関から廊下を抜けた真っ直ぐ突き当たりのダイニングに向かう。

「おじゃましまーす。」
とりあえずゲームをプレイしている音がするダイニングに呼び掛けてみる。
しかし、応答はない。
ハッシュは黙ったままだ。

ダイニングに入ると・・。

「よっしゃっ。サムス倒したー!」
「ちょっと、集中狙いは無しだよ?」
とか何とか言いながら、三人の男の子がゲームに興じていた。
まだ声変わりして間もないようなので小学5年生かそこらか。
三人は俺らに見向きもせずゲームをしている。

「カズイ、新人を連れてきたぞー。」
カズイと呼ばれた坊っちゃん頭の男の子・・いや、長ズボンのガキは、ドアの所に居た俺に見向きもせずにカールを頬張った。

「いつまで64(ロクヨン)やってんだよ!カズイ!!」
ハッシュがカズイに呼び掛けるも、カズイはカールを頬張りはじめた。

ん!?
今64(ロクヨン)だって言ったよな!?
俺はテレビ画面を観て変な違和感に気が付いた。
2014年にもなって、小学生がニンテンドー64をしているのだ。

そればかりではない。
オハスタの抽選キーワードがびっしり書かれたカレンダーは、2000年の10月で止まり。
コロコロコミックの他に、コミックボンボンが積まれ。
本棚には『ぬーべー』の他に『メダロット』などがあった。

どれも俺が小学生の頃にあったものや、流行ったものだ。

別にレトロな訳ではないが、その『絶妙な古さ』が気持ち悪い。
これは一体なんなんだ・・?