園田さん一家の闘いから数ヵ月後。
あれから最近、ハッシュにセクハラばかりされているからか、やけにハッシュを意識するようになってしまった。

ダイエーのフードコートでハッシュがポテトを食べていた時も、その動きの一つ一つを観察している自分がいたんだ。

細くはないが、綺麗な爪でポテトを一本つまむと口に入れる。
モグモグ。モグモグ。

そして、喉仏が動く。
飲み下したのだろうか。
またポテトを取り出した。

長かったのか、半分口にして後半を食べる。
そして、モグモグと咀嚼する。
モグモグ。

それをぼんやり観察して、なんだか胸の奥が熱くなってムズムズした。

「・・何?」
「ん?なんでもない。」
ハッシュがこちらを見たのでドキッとする。

「・・目が綺麗だね。黒いんだね。」
俺は精一杯の誉め言葉をハッシュに言った。
「カラコンだからね。」
ハッシュが顔色を変えずにポツリと言った。

「カラコンなの!?」
思わず聞き返す。

「うん。少し前に女子高生のミカちゃんが教えてくれたんだ。女子力が上がるらしい。」
「女子力!?」
ハッシュはポテトを食べながら頷いた。
女子高生のミカちゃんとハッシュの関係も気になるが、さりげなく女子力を上げていた事にも驚いた。
女子力って・・お前、男子だろ。

「ほら、カラコン。」
ハッシュは目を指差した。
マジマジと見る・・。
・・・。
・・・。
「なんか、恥ずかしくなってきた!」
ハッシュの目を見たら恥ずかしくなった。

最近の自分はおかしい。
恥ずかしい!
そんな乙女のような自分がいた。