海の花は雪・2

深谷君は慣れた様子で壁の前まで歩いて行くと、今度はその壁を5回ノックした。

すると後ろの扉が閉じて、ちょっとした密室が出来上がった。

それからもう一度、壁を3回ノックすると、ふり返ってオレを見た。

「…セーバーで行けば、時間の短縮になる…宮殿で、たくさん時間が取れる…」

「もう一つは?」

足元から海水が浸水して来て、いつの間にか膝の辺りまで上がって来ていた。

この小さな空間が海水で満たされる間の時間に、今日の予定を立てていく…

「高速移動の魔法を使う…」

「え?でもそれじゃ、深谷君に負担がかかるんじゃ…」

水位が胸の辺りまで来た。

「ハルにも使えるハズだから…」

「本当?オレにも出来るの?」

「そんなに難しい魔法じゃないから…たぶん大丈夫」

深谷君の瞳が、またイタズラっぽく笑った気がする…

何か言おうとして口を開こうとしたら、すぐ首まで海水が上がって来ていた。