「…何から聞けばいいのか、もう分からない…ので任せます」

坂神さんは、全てを先生に丸投げした。

何だかお疲れのようだ…確かに現実離れした話をされたり、見せられちゃ〜疲れちゃうよね〜

「では、深谷君…事の発端から、お話し願えますか?」

先生は深谷君に丸っと投げた。見事な投げ技です、先生…

「あ、そうですね…元はと言えば自分とハルが、海底の研究所に行ってしまったのが発端ですし…」

「ははは、そう言えばそうだったね〜」

落ち込む深谷少年とは対照的に、ハル君が朗らかに笑った。

「…どういう事だ?」

坂神さんが興味を示した。

「…今年の夏休み…うちの図書館の書庫に、普段は棚で隠れて見えない扉が出ていました…」

深谷少年が淡々と語り始めた。

「うっかりその扉を開けると、何かに引っ張られるように、向こうの世界に行ってしまって…」

「ああ…昨日、行った場所か」

「はい、そこでハルに初めて会いました」

「ははは、そうだったね〜オレも数日前に扉を開けちゃって…深谷君が来てくれなかったら、死んじゃってたね〜」

「自分も一人だったら、生還出来なかったと思うから…」

「話が見えん…」

冷ややかな坂神さんの視線が、二人に向けられた。

深谷少年はため息をつくと、短めに…でも分かりやすく話を再開した。