海の花は雪・2

「そんな訳ないじゃないですか〜ほほほ…飛ぶんですよ、ね〜深谷君?」

「飛ぶ?!」

高田さんと山形さんとオレの声が、見事にハモった。

「…ってまさか、深谷君」

一斉に深谷君に注目が集まり、期待の眼差しが向けられた。

「さぁ〜深谷君、遠慮なく行っちゃって下さい」

修子ちゃんに促されて、深谷君はしぶしぶ辺りを見渡すと、大きくため息をついて言った。

「…知りませんからね…」

「ふふふ…」

二人だけで通じるやり取りをすると、深谷君は呪文を唱え始めた。

「″ヒラリ・ル・モリア・サ・キエル…″」

かたずを飲んで見守っていると…

深谷君の体がフワリと浮かんで砂浜からゆっくり足が離れると、垂直に上昇しているではないか?!

「おぉ…!」

「すごい…」

口々に感嘆の声が上がり、上昇して行く深谷君を見つめた。

1メートル、2メートルと、空に上がる姿に見とれていると…

木に引っかかった地球儀を両手でつかんだ深谷君が、ゆっくりと砂浜に降りて来た。