「うん、だから残りの日にちは思う存分、海底探検を満喫しようと思います♪」

親指を立てて、山形さんは陽気に言った。

「いいですね〜海底探検ってゆ〜響き♪オレも休みいっぱい、探検しまくりますよ〜」

ハルと山形さんが意気投合したと思いきや突然、自分の方を見て、

「…深谷君は?」

「え…?」

いきなり聞かれ、思考が止まる…

「やっぱり、オケ部が大変?」

ハルが気づかうように、自分の顔をのぞき込んだ。

「ううん、練習は強制じゃないから…」

本当はちょっと、練習しておきたい曲があるんだけど…

「うん、うん…こんなスペシャルな夏は、二度とないよ〜?学生時代の夏休みは特別だからね!悔いのない夏休みにしようじゃないか〜」

山形さんは立ち上がると、こぶしを高くかかげて自分達を見下ろした。

それに乗せられたハルも立ち上がると、ナゼか山形さんとハイタッチをしている…

そして期待に満ちた目で二人に見つめられ、仕方なく立ち上がるとハルが言った。

「深谷君、両手上げてみて?」

「え?…こう?」

ゆっくり両手を上げた所に、ハルと山形さんが手を打ち合わせてきて、″パン″という良い音が部屋中に響いた…