―玲side―



「はぁっはぁっはぁっはぁっ」



吐いても吐いても、次から次へと出てくる息。



足を全速力で動かしながら、あの世へ行けそうな場所を探す。



どこだ。どこにいる。



ありとあらゆる場所に足を向けては、その姿を見られないことに苛立ちが積



もっていく。



早くしないと、あいつは本当に逝ってしまう。



葬式場ですれ違った時の、あの目。



一心に何かを見つめて、こんなときなのに希望に満ち溢れた目をしていた。



そして、悟った。



あいつは…



死のうとしてる。



死ねば母親たちに会えると、そう信じこんで、どこかへと向かって行った。