前を向くのが嫌になって下を向いたら、息が苦しくなるのに比例して、ス



カートの染みがじわじわと増えていく。



意味も無くそれを心の中で数える。



一つ、二つ、三つ、四つ…。



次から次へと溢れ落ちる想いを誰にぶつける事もできずに、奥歯をギリギリ



と噛み締めて見つめていた。



でも、我慢の限界が近づく。



先程から、先生がかけてくれる優しい言葉も、今は素直に受け入れられな



い。



どうして私がこんな目に遭わないといけないの?



何か悪いことした?



もう、嫌だ。



誰も助けてなんてくれないんだから。



だから、もう。



「うるさい!」



耐えきれなくて口に出した言葉は凶器となって先生に降り注いだ。



容赦なく刃を向ける私を、先生は泣きそうな顔で見ていた。



そんな顔されても、もうどうしようもできない。



私はその場から、逃げ出した。