小さい頃からそうだった。



大人の前ではいつも猫を被って。



言われるのは毎回同じ。



『いい子だねぇ』



餓鬼の頃はそう言われるのが嬉しくて必死になって優等生を演じた。



大きくなった今ではそんなこと1㎜も思っちゃいねーけど。



…なのにまだ演じる理由。



そんなのはわかりきっている。



" 便利だから。"



先生の信頼があるに越したことはないし、優等生という名目上面倒事に巻き



込まれることはほとんどない。



雑用だとかいうのはよく頼まれるが…。



それでも問題児なんてレッテルを貼られるよりも格段に楽に生きてこられ



た。



これは俺が生きていく上での術。



大人に気に入られることを最優先にして色んな物を切り捨ててきた。



挙げたらきりがないほどに。