詐欺師の恋


お、重い。



中堀さんの香水の匂いが、胸をきゅんとさせる。



でもそれ以上に。



熱い。



中堀さんの身体が高い熱を帯びている。




ちらりと顔を見ると、目は閉じられていて、顔は熱で紅潮している。



相変わらず、睫毛長い。






「花音!?ちゃんと持って」





「は、はい!!」




しまった。見惚れている場合じゃない。


予想外に密着できたことに喜んでいる場合でもない。



不謹慎。


こういうのを、不謹慎って言うんだ、きっと。



自分の馬鹿さ加減は毎度のことながら呆れつつ、私は一生懸命タクシーまで中堀さんを運んだ。



裏口を出た所からは、タクシーの運転手さんが手伝ってくれて、無事に中堀さんを乗せることに成功。




「じゃっ…じゃぁ、花音…っあとはっ、よろしくねっ…」




息を切らしつつ、メリッサは私に鞄を渡した。




「あっ…ありがとうござい…ましったっ!」




私もぜぇはぁと肩で息をしながら、深々と頭を下げ、タクシーに乗り込んだ。