詐欺師の恋

階段を下りてドアを開けると、さっきの場所に出た。





「あ、花音ちゃん。零、終わったみたいだね?」





こちらに背を向けていたお兄さんが気付いて振り返る。




「はい。あの、あれって、どういうことですか?なんか、体調悪過ぎたんですか?」





今一番心にひっかかっている質問を出すと、お兄さんは一瞬ぽかんとした表情をして、次の瞬間、噴き出した。




「あはは、それ心配してたの?ナイナイ、どんなに体調悪かったって零はステージに穴を開けることはしないよ。何深刻な顔してるのかと思ったら、ははは、花音ちゃんはかわいいねー」





「え、じゃ、なんで…」




完璧馬鹿にされていることにむっとしつつ、なおも訊ねると。





「交代だよ。今日は零だけじゃないの。零はここんとこずっと出てるから本当は今日休みでもいいくらいなんだけど、人気があるからねー。」





今度は私がぽかんとする番だ。




交代。


あ、そうか。




一人でずっとやるのかと思ってた。






は、恥ずかしいっ。




私は熱を持った両頬に手をあてて隠す。