「お前の母親、一緒に暮らしてた男に殺されたんだってな。」
耳元で囁かれた言葉は、施設に初めて連れてこられた頃の記憶をフラッシュバックさせた。
掛かってきた電話。
顔色を変えた警察。
憂いを帯びた養父。
そして、納得する。
あぁそうか。
興味がなくて、調べようなんて思ったことなかったけど。
自分じゃない人間が、知りたがるのか。
まだ、あの女は俺に纏わり付くのか。
あの女から生まれた時から、この世界に居場所なんかなかったんだから。
受け入れられる訳がなかったんだ。
じゃあ。
何も、考えることなんか、ないか。


