詐欺師の恋


お兄さんの方に向けていた顔を、私はまた中堀さんに向ける。



上からだから、表情は伺いにくい。




ただ、その金色の髪が、青白い光を受けて白く見える。



長い白い腕と、細長い指に見惚れる。





でも。家に帰ってないって。



どーいうこと?!



ああ、心配。


すごい心配。



近くに居ないとこういう時面倒だ。



その身体が熱を帯びているのかと思うともう心配で堪らない。




なんで家に帰らないのかな?





「喉、渇いた?カウンター行く?」




お兄さんがふいに私に訊ねたけれど。




「大丈夫です!」




食い入るように中堀さんを見ながら、私は即答した。





「あ、そ。俺はそろそろ行くね?」




絶対唇は笑っているに違いないなという口調でお兄さんがそう言ってから、直ぐに気配が消えた。



もう一度御礼を言っておいた方がいいかと顔を上げた時には、入ってきたドアが閉まる所だった。






「名前、聞き忘れちゃったな」




ぶつぶつ一人言(ご)ちながら、視線は直ぐに中堀さんへ。