詐欺師の恋


私はどうせ言ったってあんまり聞こえないんだろうからと、頷いてみせるだけに留め、視線を直ぐ中堀さんに向けた。




黒っぽい服を来て、一心不乱に機材を操作する中堀さんは、やっぱり格好良くて。



こんなに間近で見れるのは初めてで、生き生きとした姿に少し驚く。






「零、体調崩してるんだよ」





曲がしっとりとしたものに変わった頃、お兄さんが私に言った。





「え、ほんとですか?!」




考えてもみなかった情報に、耳を疑った。




「うん。その証拠に零、今日結構汗かいてる。」





「風邪…ですか?」




「零は言わないけどねー。見ててわかるよ。」





メリッサと話した時にも感じたけれど。


このお兄さんも、中堀さんとは最近知り合ったわけじゃなさそうだ。




「もう家にずっと帰ってないし、ここで寝泊りしてるし。」



「は?!」




だけど、その情報がさっきから私の思いを掻き乱して行く。




「な、ななんで…」




「知らない。零は言わないからねー」





ちゅ、中途半端な情報なら止めてほしい。




気になって仕方ない。