詐欺師の恋

えーん、中堀さんが見えないよー!!!



私は後ろでピョンピョンと跳ねて悔しがる。




見たかったのにー!





「こっち」




しょんぼりした所で、後ろから腕を掴まれた。



「え?」



振り返ると、さっきの受付のお兄さんが唇に人差し指を当てて、目配せしていた。




「―よく見える所に連れて行ってあげる」




そう言ってぐいぐいと引っ張ってくれるので、なされるがまま付いて行くと、受付の奥のドアをお兄さんが開ける。




中には階段があった。



ルナみたいにコンクリじゃなくて、ふかふかとした絨毯が敷かれている。



7段ある階段を3回昇った所で、脇に出てきたドアをお兄さんが開けた。






「うわ…」





そこにはちょうどステージの真上に当たる場所に繋がる通路が広がっていて、ホール側からは死角になっている。




なんて、素敵な場所!



私はテンションも上がってきて、すごい音が響いてるのも気にならない程だ。





「さすがに真上は危ないから行かないほうがいいけど、ここからなら零見れるでしょ?」




お兄さんが、大きめの声でそう言って、にこりと微笑んだ。