詐欺師の恋




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「あ、やべ。制服置いてきちまった。」



歩道橋の上から道路を見下ろしながら、空生は呟く。



就職活動はまだ終わっていない。


面接の時点で断られる事は多数経験した。


折角内定をもらえても、直ぐに取り消されてしまう。


恐らく自分が施設出ということが引っかかってくるのだろうと思って受け止めてきた。


疲れや焦りもあった。


だが、とにかく早く自立したい。



「仕方ない。…戻るか」



肩を竦めて呟いてから、階段を下りる。



きっと、自分のことをしっかりと見てくれる企業がある筈だ、と自身を慰めながら。


もう少し頑張ってみようと思った。


ふと見上げた空は、雲が多く、月が全く見えなかった。