「大丈夫。元々空生は、誰にも執着しない奴だし。この街に戻ってきたから、俺と再会しただけだし、な。ただ―ちょっと心配なんだ。だから、カノンちゃんに伝えておきたいことがあって。」
タカの言葉に、私は居住いを正す。
「あいつ―燈真とあの仕事に手をつけるまで…本当に空っぽだったんだ。」
どこか遠くを見るように、視線を真っ直ぐ先に向けてタカは言う。
「喜怒哀楽も一切持ち合わせていなかったし、目標や夢なんてもんも勿論なかった。就活してたけど、それも、なんてーか、一刻も早く施設を出たかっただけみたいだし、結局上手くいかなかったしな。」
そこまで言うと、タカは目を伏せて小さく息を吐いた。
「つまり―ある意味で、カノンちゃんが見てたあいつは、嘘物だってこと。」
「…どういう意味ですか?」
「空生は、嘘でずっと固めてたわけでしょ?自分じゃない誰かをずっと演じることで、生きてきた。だから、自分を偽って生きてきた。」
なんか、難しい話だ。
だけど、大事な話だ。


