詐欺師の恋

目の前に居る、中堀さんは。


本当にお人形のように、綺麗な顔立ちをしていて。


笑い転げる姿も、不機嫌な姿も、悔しいけど、絵になる。




だけど、たまに、とても儚くも感じる。




手が届きそうになるのに、するりと抜けていってしまう。




―触れたいのに、触れると消えてしまいそうで、怖いな。




とんがった口のまま、そんなことを考えながら中堀さんを見つめる。





細くて長い指先で、カップを掴む仕草も見惚れてしまう。





それを口元に持っていく姿も、いちいち様になってるなぁ。







「!?ゲホッ」




「あ!」




しまったぁぁぁ!!



慌てて立ち上がるも、時既に遅し。





「苦い…」



むせた中堀さんの、茶色い瞳が、細められて。





「おい。」




掛けられた声と一緒に、掴まれた腕。




「ひっ!!」




悪魔が、美しく微笑む。





「今から、牡蠣、食いに行こうな?」





「や…」





抵抗もむなしく、ずるずる玄関へと引き摺られるようにして連れて行かれる。





「やだーーーーーーー!!!!!!!」





牡蠣は、あれだけは、絶対に食べれないー!!!!