詐欺師の恋


「じゃ、僕から。」







眼鏡ボーイになった推定中堀さんは、短くそう言うと、またにこりと私に微笑みかける。




くらくら、する。






絶対に本物の、舟木さんはそんなに笑わない人間だと思う。




写真見てないけど、絶対違うと思う。








「僕は―」







じっと見て、私の視線が彷徨うのを許さない術は、相変わらず、狡い。






一体何を言うんだろう、と。






心拍数が跳ね上がる。


















「貴女が好きです。」











「―?!」










嘘だ。







と、思うけど。







隣で、錦さんが、小さくおっと驚きの声をあげたけど。







不意打ち、過ぎて。







不覚にも、一際大きくドキっと心臓が音をたてた。











胸が。






いっぱいになってしまった。








ただただ、私は中堀さんを見つめるだけ。






中堀さんからも、笑みが消えた。








「何度も、忘れようかと思ったけど」








しとしとと、雨がまだ降っている音がする。










「貴女に会えないと、ここが痛むのは」









言いながら、中堀さんは自分の胸を、右手の拳でトンと叩いた。










「笑った顔が、見たいと思うのは」








部屋を、静かに錦さんが出て行ったようだけれど、私は中堀さんのことしか目に入らず、中堀さんの声しか聞こえない。










「愛してるってことなんだと思います。」