詐欺師の恋



髪の毛は、長め。


髪の色は、真っ黒。




高い、背。



黒縁の眼鏡をして。



先生って感じの、かっちりしたスーツ。




ちょっと猫背。







「初めまして。」






そして、初対面のような口を利く。




だけど。








これは。










この人は。











「なっ―――!!!!!」







ヒヤリ。




声をあげようとした瞬間、そっと触れられた唇。




冷たい人差し指が、声を立てるなと口に命令している。






「失礼。折角のキレイな唇に埃が付いてしまっていたもので。」





目の前の彼は、にっこりと微笑んで、いけしゃあしゃあと嘘を吐く。





「あぁ、すみません。いや、お恥ずかしい。」






ぱくぱくと金魚みたいに口を動かすだけで、目を白黒させている私を見かねたのか、錦が私の親のような台詞を言い出す始末。






「…ええと、それでは、これからお見合いを始めたいと思います。舟木さん、どうぞ、こちらへ。」






な、な、な。。。




何の冗談?!?!?!?!





目は、しっかりと中堀さんに釘付けになったまま、私は声に出して叫べない分、心の中で思い切り叫ぶ。





中堀さん、ターゲット間違えちゃったの?!



それとも私だってこと、知らずに来たの?