詐欺師の恋

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指定されたお見合い場所は、今住んでいる所から実家に帰るまでのちょうど真ん中の距離にある。



お抱えの運転手に迎えに行かせるという祖母からの申し出を丁重にお断りし、電車からタクシーに乗り換え、向かった先は。




「うわ…」




超がつく程の高級料亭。



ニュースで、たまに政治家同士の内密の話し合いが行われてます!とかって報じられてる所じゃないの?と思考がぶっとぶ。



芸術、と名の付く日本庭園を眺めながら、個室で日本料理を楽しむような場所だ。



こんなことでもない限り、私には一生縁がない。




数奇屋門の前には、黒塗りの高級車とか停まってたりして。


運転手らしき人は主を待っているのだろうか。





―お祖母ちゃん…半端なさ過ぎ。。。





「櫻田、花音さん、ですね?お待ちしておりました。」





口をあんぐりと開けて、暫く放心状態に陥っていると、横から、声がかかった。





「あ…へ?」




案の定、きちんと対応することができない私が、首をぐるりと回すと、隣に見知らぬスーツ姿の中年男性が立っていた。




「初めまして。私、櫻田会長の秘書をやっております、錦(にしき)、と申します。」




男は自己紹介をすると、丁寧に頭を下げた。




「は、初めまして。。。いつも祖母がお世話になってます。。」



私も深々とお辞儀返し。



そんな私を前に、錦さんは少し困ったような顔をする。