「前に、、、私に聞かせてくれましたよね…?ある、、男の子の話…」
以前、単なる世間話だと燈真から聞いた中堀さんの物語は、私から見て、とても、辛くて、信じられない程、冷たいものだった。
そんな自分は、燈真の言う通り、甘い人間なんだろうと思う。
中堀さんと会って、初めて知った。
アスファルトの上に、陽の当たる部分と、当たらない部分があるように。
この、小さな国にも、当たり前のものを当たり前に受けてきた人間と、当たり前のものを、当たり前に受けてこられなかった人間が居る、ということ。
どちらも、固いアスファルトの隙間に落ちた、蒲公英の種だったのかもしれない。
陽が、当たっても、当たらなくても、芽を出して、花をつけた。
その花が。
いびつに咲いたからといって。
暖かい太陽の光に浴びたいから、茎が変に伸びてしまったからといって。
光により近い者に、寄りかかってしまったからといって。
誰が、それを責められるんだろう。
「愛された…記憶がないのは…、あなたも…」
中堀さんに物語があったように。
「あなたにも…物語が、あるんじゃないですか…?」
きっと、燈真だって、最初から冷たい目をしていたわけじゃない。


