詐欺師の恋

「私、警察には言いません。あなたを訴えることはしません。」




きっぱりと言い放つ私に、燈真の目が僅かに見開かれる。



「あなたは…中堀さんの、友達だから。」



それを伝える為、私は今日ここを訪れた。



「だから、、、中堀さんのこと…もう、放して上げてください、お願いします!」




勢い良く頭を下げると、暫く沈黙があった。




そして。



クツクツと漏れる、笑い。




「―?…っ!」




不思議に思い、頭を上げた瞬間、燈真が私の身体を路地裏の壁に勢い良く押し付けた。




「うっ…」




背中に硬いコンクリの衝撃が伝わって、思わず顔を顰める。




「何甘いこと言ってんの?お前みたいな善人気取りの女、まじで俺大っ嫌い。」




それまで笑みを絶やさなかった燈真が、真顔で私を睨みつけ、首に巻かれた手がきつくなった。





「いくら昼間だってね?俺にとっての庭みたいなこの街に、のこのこ一人で現れて、無防備過ぎると思わない?しかも俺はあんたを消したいと思ってるんだよ?」





息苦しさのせいなのか。


それとも、悲しいのか。



私の目に、じわりと涙が浮かんだ。