詐欺師の恋

「カノンちゃんはさ、昨日、空生と話したいって言ってたよ。それで、お前に会いに行ったんだ。」





「―え?」





崇の不可解な電話の意味を、俺は知らず。



色々あって、訊く余裕もなかったから。



初めて聞く話に、思わず顔を上げた。





「日本語、わかるよねぇ?カノンちゃんは、お前をまだ信じてるんだぜ?」



「・・・」




昨晩、ほんの僅か、絡んだ花音の目は、どこか必死で。





「…無理だよ。」





それを振り払うかのように、俺は頭を振って、運転席のドアに手を掛けた。





「じゃ、なんで、ここに来るわけ。」





崇が苛立った様子で、試すように俺を見た。



俺は仕方なく小さく溜め息を吐き、崇の目を見返す。






「……数が、揃うまで。」





「―は?」




目を点にした崇を押しのけ、車に乗り込む。




「え、ちょっと!待てって!まだ話終わってねぇって!」



慌てて窓をバンバンと叩く崇に構わず発車させると。




「おわっ、まじ、あぶねぇっ。しんじらんねぇっー!!!」




わぁわぁと騒ぐ崇の雄叫びが聞こえて、小さく笑った。