詐欺師の恋


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髪の色を。






「櫻田さん??」







黒く染めたのは。






「はい…怪我の具合、どうですか。」





昨夜、付き添ったのが、俺だと一致しないように。



花音に、わからないように。





「安心してください。怪我はひどいですけど、意識もしっかりしてますし、治療すれば良くなりますよ。大部屋に移動になりましたから、そこから上がって、顔見に行かれたらいかがですか?」




ナースステーションで、年配の看護師を呼び止めて尋ねると、親切に勧めてくれたが俺は首を横に振った。





「いや…時間がないので。これだけ、、渡してもらえませんか?」





花屋で見つけた、彼女にそっくりの花は。



懺悔のつもりか、と訊かれれば、そうなのかもしれないと答えるだろう。




容態を聞く口実か、と訊かれても。




同じように、そうかもしれないと言うだろう。




でも本当は、ただ、勝手に足が向いた。



そうしたい、と思った。



それが、正解だ。