詐欺師の恋


ルナを出て行くまで。





誰も、俺に話しかける事無く。




俺も、誰のことも見なかった。





静かな、静かな道。



そこらじゅうに散らばっている、キラキラ光るモノ。




それを見つめ。



歩きながら。




ただ。



ずっと前に、初めてここに足を踏み入れた時のことを、なんとなく思い返していた。



いつしか家のようになっていたこの場所で。


どれくらいの年月を過ごしただろう。





あの時と同じように、俺は何も持たずに。



来た時と同じように、出て行く。





これから何処へ行くとも決まってない。



けど、ここには居られない。




長く居過ぎた場所。





俺と居ると、燈真も。





―あいつにも、良くないから。




「疫病神、か―」






ルナの外に出た瞬間、俺を出迎えた大きな月を見て、笑った。




少し掠っただけの、頬の切り傷が、やたら痛く感じるのは、気のせいか。