詐欺師の恋


「っ」




俺はカウンターを飛び越えて、燈真の胸倉に掴みかかり、殴り飛ばした。





ガシャガシャーン!!!!



仰向けに倒れた燈真に馬乗りになって。






「なんで、あいつにあんなことしたんだよっ!!!」




その首を持ち上げて、怒鳴った。



が。



「…、お前が、使いもんになんねぇからだ、よ!」



「!?」




燈真はまだへらへらと笑いながら、死んだような目で答え、手探りで散らばった破片を掴み、振り上げる。




「っつ」




咄嗟に避けたものの、頬に掠り、切れた感触がした。






「折角育てた俺の金づるが、あんなどうでもいい女に盗られてたまるかよ!」





そのまま燈真が俺に圧し掛かり、形勢がさっきと反転する。




「なぁ?お前勘違いしてない?」




燈真が俺の首を絞めながら、嘲笑う。






「お前は疫病神なんだよ。俺が拾ってやったから、今こうなれたの。」




「く…」







苦しさに顔を顰めながら、数時間前の光景が脳裏に浮かんだ。




花音の、背中を押した燈真を、俺はしっかりと見ていて。




その後反対方向に逃げたのも、知っていた。



花音のことが優先だったから、後を追わなかったけど。




なんで、今更燈真が花音に執着するのか、理由がわからなかった。






「まさか、あの女、助かった、とか言わないよね?」




燈真の顔が、一瞬曇る。