詐欺師の恋


「…俺はさ、弱い男なんだよ。」





灯りを落とした部屋。



俺は小さく呟く。






「自分で思ってるよりずっと、、期待してた。」





あんたと離れることにした、あの決断も。



戻らないように、二度と戻れないように、引き返すことが出来ないくらい。



あんたのことを、傷つければ。




割り切って、過去の話だと捨てられると思ってた。





そうやって、今までずっと来てたから。



それで、大丈夫だったから。





今回だって。



きっと、忘れられると思ってたんだ。





諦めることが、できるって。



俺は今まで、それを上手にやってきた。




誰かに期待することなんて、一度もしたことなかった。



こうなればいいのに、なんて、未来予想図をたてることも、なかった。




俺の将来はいつも、灰色がかってた。






なのに。




「頭では分かってても…割り切ってても…記憶が…過去に期待するってことが、あんのな。」




身体が。


思い出が。




花音を消し去るのを、邪魔する。




目が勝手に、彼女を捜してしまう。





また、どこかで。




偶然でも。


街中でも。



いつかのように。



逢える筈だと。