詐欺師の恋

せ、セーフ。



私は内心ほっと息を吐いた。



手を止めた中堀さんは一瞬逡巡するかのように、視線をカップに向けてから。





「あのさ…崇に会うこと、ある?」





突拍子も無いことを訊いてきた。




安心したのも束の間、ドキっとする。




タカとは、あの夜以来、連絡を取っていなかった。




うっかりしてた、というよりも、忘れてた、という方が正しい。




つくづく自分のことしか考えてない。



せめてお礼のひとつでも言うべきだったのに。



でも、それは私の個人的な事情であって、中堀さんは関係ない筈だ。






「…いえ、会っていませんけど。。。何かあったんですか?」






不思議そうに中堀さんを見ると、中堀さんは少し罰が悪そうな顔をする。





「いや…そっか…。なら、いいんだ。」






そうやって一人でわかったように頷き、再びカップに口を付けようとした。





「あ!」





今度叫んだのは、私です。