詐欺師の恋

でも、今更流して作り直したら絶対わかっちゃうし。




「…あの、ミルクとか、入れましょうか?」




「いらない」





殺される。




若干冷や汗をかきながら、カップを運ぶために持ち上げた。





右手に超がつくブラックコーヒー。



左手に苦くない紅茶。




………




この際、心を無にしよう。




そうすれば、平静を保っていられる筈だ。




考えない、考えない。



自制を働かせつつ、振り返ればすぐそこの人の前に、カップを置いた。





「目が線になってるけど。」





!!!!





く、邪念が。


考えない。


考えない!






なんとか対面に座って、細い息をゆっくり吐き出した。





「ありがと。」





小さくいただきますといって、中堀さんはカップを口に近づける。





あ、あ…





「あ。」





寸前の所で中堀さんが思い出したように声を出した。