詐欺師の恋

人を好きになるだけの気持ちが。


どうしてここまで色んな人を巻き込んで、動かしてしまうのか。


どうしてこんなに切なく胸を揺さぶり、焦がすのか。





「ミサキちゃんは、、、いずれ、帰るつもりだったんだと俺は思ってる。零が居なくなることも、きっと予想してた。」




「嘘だ!美咲は最後の電話で言ったんだ!俺に…、あいつに会いたいって…あいつが好きになってくれるって言ったのに、、消えたって…」





取り乱したように、首を振る藤代くんをタカが仰ぎ見た。




「それを言った相手が兄貴だったっつーのが、証拠じゃねーの?」



「!!それはっ…たまたま、、俺が電話をかけてたから…」




言いながら、藤代くんは、押し黙る。




「…藤代くん???」




私は心配になって、立ち上がった。


けれど、藤代くんは固まったように動かない。





「…ずっと…不思議だったんだ…」




やがて、藤代くんはぽつり、呟くように口を開いた。





「……美咲の遺品の携帯電話から、知らない電話番号はひとつも見つからなかった。…直前の着信履歴も、俺からだけで。。あの夜の発信記録は、ひとつも、、なかった。」



「え…」




今度は私が首を傾げた。



恋に溺れる人間ならば。


何度も何度も何度も、捜し人の携帯を鳴らすだろうに。


もし繋がらなくても、その番号を消去することは、辛すぎるから。



現に私の携帯には今でも、中堀さんの二種類の繋がらない番号が登録されたままになっている。