「あんたは、零が、ミサキちゃんを利用したと思っているみたいだけど、、、実際は違うからね。零は、燈真の指示通りに動いただけで、最初はミサキちゃんになんか目もくれてなかったんだ。相手になんか全然してなかった。」
ただ、余りに強く零のことを想っているから、とタカが繋げる。
「燈真に目をつけられたんだ。」
「え…」
再び、藤代くんの瞳が揺れ始める。
「…最初、零はミサキちゃんに家に帰るよう、勧めてたよ。…けど、結局ミサキちゃんはルナに通い続けた。不毛な恋だと自覚しながら。零のする約束が、嘘だとわかっていながら。」
「そんなの、嘘だ…」
藤代くんは首を振るけれど、タカの目は、その時を思い返しているかのように細められる。
「零のことで周りが見えなくなっているように見えるミサキちゃんはね、お酒を飲んで酔うと、時々本音をこぼすんだ。『お兄ちゃんが心配してくれてる』ってね。『帰らなくちゃいけないことはわかってる。でも、もう少しだけ』って。」
「嘘だ…」
「嘘なんかじゃない。好きで好きでどうしようもなくても、叶わない恋なんて腐る程ある。それが分からないほど、ミサキちゃんも子供じゃなかった。」
ただ、あと少しだけ。
もう少しだけ、このままで。
それは、恋をする人全てが、思うことで。


