「そりゃ、学習してるよねぇ。」
咥えた煙草に火をつけながら、俺も笑う。
「けど、今回は俺も引けません。大事な人が、あいつの餌食になるのを、今度こそ食い止めなくちゃいけないんで。」
意志の籠もった瞳で、俺を真っ直ぐ見つめる男は、あの頃より、やっぱり成長したのだと思った。
同時に、自分の思惑通りの展開に、内心ほくそ笑んだ。
「へぇ?ってことは、足がついてんだ?」
「はい。しかも本名まで出してますから。だから。。それが確実なら、貴方達が何と言おうと、俺はあいつを許さない。」
正しくも有り、間違っても居る正義感は、利用し易い。
「…そうだよねぇ。俺も今回ばかりはちょっとそれに賛成かな。」
その女に、大事な金づるを取られるのは御免なんでね。
「―え?」
俺の返答が予想外だったのか、男はたじろいだように瞳を揺らした。
空生が詐欺に手を染めている事実を、俺等は頑なに認めなかったんだから、そりゃそうだろう。
「だから、ちょっとやり過ぎかなって、思ってんの。あいつもそろそろそーいうの、辞めるべきなんだよ。」
生まれつきの俺の顔は、容易く人の良い人種になれる。
産んでくれた誰かに、それだけは感謝している。


