藤代くんは、私のことをそうじゃないって言ってくれたのに。



「…結局は、藤代くんも私のこと、そういう軽い女だって、陰で笑ってたってことでしょ。」



口を噤んでしまう藤代くんを、責めるような目で見つめた。




「でも、だからって、中堀さんに会ったことを言わないのはやりすぎじゃない?それとこれとは別問題でしょ?」



あの時、中堀さんが家まで来た事がわかっていたなら、何か変わっていたんじゃないかと。


色々感情的になってしまって、涙が溢れるのも時間の問題な気がしてきた。




「…そうじゃ、ないんだ…」



「何が?」




精一杯気丈に見せようとする私の刺すような問い返しに、藤代くんは身体から力を抜くように、息を吐く。



「…逆だよ。」



やがてぽつり、落とされた声に、私のぐちゃぐちゃな思考は理解を示せない。



「どういうこと?」




一瞬だけ、目を逸らし、伏し目がちに足元を見てから、藤代くんは私に視線を戻した。





「櫻田を陥れたかったんじゃなくて、中堀を陥れたくてやったんだ。」




「-っ?!」




声が、出なかった。



藤代くんが、さっき飯山を見ていた時と同じ表情なこと。



中堀さんのことを、呼び捨てにしたこと。



何か、知っているような物言い。




嫌な胸騒ぎが、近づいてくるようで。