詐欺師の恋

「なぞなぞ、しよーぜ。」




飯山の目は、いつだって、死んだような瞳をしていた。



見ているようで、何も映っていないかのような。




「―え?」





不可解な飯山の誘いに、眉間の皺はそのままに、訊き返す。




幼稚園児じゃあるまいし、ここでなぞなぞって。




動揺する私を余所に、飯山は片手をポケットに突っ込むと、更に口角を上げた。






「櫻田の新しい男の噂話を、再加熱するように仕向けた人間は、誰でしょーか?」






「はぁ???何を言うかと思えば…」





私は、呆れたように呟いて、飯山を睨め付けた。






「貴方以外に誰が居るんですか。」






が、飯山との目線が交わらない。





飯山は、私ではなく、私の背後の方を見ているようで。






「……櫻田。お前、男見る目、ないってこと、そろそろ自覚した方が良いぜ。」






そう言うと、すっと近づいたので、私は思わずびくりと身を引く。





「んな、警戒すんなって。何もしねーよ。」





飯山は面倒そうに両手を上げて、手にしていたストールを私の首に巻きつけた。






「な?藤代。」




「え?」




同意を求めるように、落とされた名前に。



私は思わず首を捻って、飯山の視線を追った。