詐欺師の恋

頭では理解できていても。




ココロが痛い。



ひりひりと、痛い。





いつかはかさぶたになって、治るのだろうか。





その為には、辛くても前に踏み出さないといけない。





「おばあちゃんの選ぶ人ってどんなんだろう。」







ふと、口にした疑問に。






「どんな人が良い?」






憲子が理想を訊ねた。





「んー…そうだなぁ…」





考えるフリをすれば、心が寄り添って離れようとしない、たったひとりの人物の面影が頭をちらつく。




「…優しい、人が良いなぁ…」




それを振り払って、なんとか答えて。




憲子の返事を待たずに、伸び始めたうどんを啜った。






けど。





あの人だって、十分過ぎる程、本当は優しいことを、私は知っている。




それを、多分誰よりも、間近で見てしまったから。



何度振り払っても、結局はあの人に行き着いてしまう。



堂々巡りだ。