詐欺師の恋

何度思い返しても、痺れる台詞。



「裕ちゃん、惚れるわ…」



それで、そのままプロポーズされて婚約とか。


色々羨ましすぎるんですけど。



「結局、裕ちゃんはちゃんと考えてたんじゃん。」




私はぶすくれながら、空色の湯呑みに入っている玄米茶を啜った。




「…まぁ、ね…」



憲子はそんな私を見て、物憂げな表情になる。




「で、、花音は…?」




憲子は私に気を遣って、最近私が問い質すまで裕ちゃんとのことを話さなかったばかりか、指輪すら会社には外してきていて、それを知った私は申し訳ないやら情けないやらで、落ち込んだけれど。





「婚約者募集中…」




自分で言ってて、やっぱり哀れで仕方ない。




「藤代も異動になっちゃったしねぇ。忙しそうだし。。代役にするのも嫌なんでしょ?」




私は憲子の言葉にこくりと頷いた。





「お待たせ致しました。」




そこへ、先ほどの店員が、注文した料理を運んできたので、一旦会話が途切れる。




憲子の健康的な、というか、彩り豊かなプレートに比べ、私の所へ運ばれてきた透明なスープとか、何かがすごく乏しい感じがする。



それは、今の自分たちを表わしているようだなと、珍しく内心で皮肉った。




「ごゆっくりどうぞ。」






店員がお辞儀をして背を向けると、憲子が再び口を開く。





「じゃー…さ…お見合い、してみたら?」