詐欺師の恋

「裕ちゃんとの話し合い、上手くいって、良かったね。」



そう言うと、憲子は照れたようにえへへと笑った。



私が藤代くんとご飯を食べて、その後タカの説教を食らった夜。



憲子は裕ちゃんと、とことん話し合ったらしい。



憲子自身は、別れることも勿論頭にあったようで。



「花音にもよく言うけどさ。駄目なら駄目でさっさと次行かないと!っていうような焦る気持ちはいつもあったんだよね。」




それでも、踏み切れない自分も居たという。



「色んなところ、全部ひっくるめてやっぱり好きだからさ。この際だから、言いたいこと全部言って、すっきりして別れれば良いかなって。」




苛々や焦燥感、相手に求めること、自分がしたいこと、今思ってること、将来のこと。




この憲子が感極まって泣いたというんだから、相当追い込まれていたに違いなかった。



そうやって全部ぶちまけたら。



何一つ口を挟まずに、全てを聞いた裕ちゃんは、憲子のことをぎゅーっと抱き締めて。




『俺は、俺が、憲子を幸せにしたいよ』



と呟いたと言う。